コールセンターには様々なシステムが導入されており、一見すると似たような略語や専門用語が多く登場します。本稿では、特に重要な4つのシステム(PBX、CTI、IVR、ACD)について、その違いと役割を、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
まず大きな全体像として、これらのシステムは「電話をいかに効率的に処理するか」という目的のために連携して動いています。
最も基本となる電話交換システム
たとえば、会社の代表番号に電話がかかってきたとき、適切な内線に振り分ける装置です
家庭でいえば「玄関」のような役割を果たします
基本機能
– 内線通話の制御と管理
– 外線発着信の管理
– 通話の転送・保留・会議通話
– 通話記録(CDR: Call Detail Record)の生成
– 回線使用状況の管理
発展的な機能
– IP-PBXによるVoIP通信対応
– クラウドPBX(UCaaS)連携
– マルチロケーション対応
– 災害時のバックアップ機能
– 通話データのレポーティング
運用上の特徴
– 通信コストの最適化
– 柔軟なルーティング設定
– 回線リソースの効率的利用
– システム冗長化による安定運用
– セキュリティ管理(通話暗号化等)
最新のトレンド
– WebRTCとの連携
– UCツール(Teams/Slack等)との統合
– AIを活用した通話品質最適化
– ゼロトラストセキュリティ対応
– クラウドサービスとの連携
電話がかかってきたときの自動案内システム
たとえば、以下のような機能を音声で実現します
– メニュー案内による用件の振分け(「製品について→1」「料金について→2」)
– 営業時間や所在地などの定型的な情報提供
– 残高照会や郵便物の追跡状況など、データベースと連携した情報案内
– 予約の変更や各種設定変更などの簡単な手続き
– キャンペーン情報など、タイムリーな情報のお知らせ
このように、IVRはオペレーターを介さずに、様々な情報提供や手続きを音声で実現するシステムとして機能しています
基本機能
– DTMF(プッシュ信号)認識
– 自動音声案内
– テキスト読み上げ
– 基本的な情報提供
– メニュー分岐制御
発展的な機能
– AIによる対話
– 感情分析
– 多言語対応
– 本人認証
– データベース連携による動的応答
運用上の特徴
– メニュー階層の最適化
– エスケープルートの確保
– 入力タイムアウトの適切な設定
– 「発話区間」と「無音区間」の適切な検知
– メモリ機能による通話中の情報維持
最新のトレンド
– 自然言語処理の高度化
– リアルタイム感情分析
– 生成AIとの連携
– オムニチャネル連携
– パーソナライズ対応の強化
電話とコンピュータを連携させるシステム
着信と同時に顧客情報をオペレーターの画面に表示するなど
たとえば、スーパーのレジで商品をスキャンすると価格が表示されるように、電話番号から顧客情報を即座に表示します
基本機能
– スクリーンポップアップ
– クリック・ツー・コール
– 通話履歴の自動記録
– 基本的なCRM連携
– 通話状態の管理
発展的な機能
– 予測発信/プレビュー発信
– インバウンド/アウトバウンドのブレンディング
– 高度なCRM連携
– 通話録音との連携
– リアルタイムダッシュボード
運用上の特徴
– KPI管理(応答率、処理時間等)
– QA(品質管理)との連携
– オペレーターパフォーマンス管理
– データ分析基盤としての活用
– セキュリティ管理
最新のトレンド
– AIによる会話分析
– クラウドCTIの普及
– オムニチャネルプラットフォーム化
– リアルタイム分析の高度化
– 自動化(RPA)との連携
かかってきた電話を最適なオペレーターに振り分けるシステム
たとえば、「製品担当」「料金担当」など、スキルに応じて適切なオペレーターに配分します
基本機能
– 着信呼の自動振分け
– キューイング管理
– 基本的なスキルベースルーティング
– 待ち時間アナウンス
– オーバーフロー制御
発展的な機能
– 高度なスキルベースルーティング
– 優先度に基づく振分け
– マルチスキル対応
– コールバック予約
– リアルタイム待ち時間予測
運用上の特徴
– SLA(Service Level Agreement)管理
– キュー状況のモニタリング
– オペレーターの稼働分析
– 要員配置の最適化
– パフォーマンス分析
最新のトレンド
– AIを活用した最適振分け
– 予測分析による要員配置
– クラウドACD化
– オムニチャネル対応の高度化
– 柔軟な在宅勤務対応
あるお客様が携帯電話の料金について問い合わせる場合を例にとってみましょう:
1. お客様が代表番号に電話 → PBXが受電
2. IVRが応答:「携帯電話の操作については1を、料金については2を…」
3. お客様が「2」を押す
4. ACDが判断:「料金担当の空いているオペレーターは誰か」
5. CTIが連携:「このお客様の契約情報、過去の問い合わせ履歴は…」
6. 適切なオペレーターに接続され、画面に情報が表示される
このように、各システムが連携することで:
– お客様を長時間待たせない
– 適切な担当者に確実に繋ぐ
– 効率的な対応を実現
という目的を達成しています。
弊社では、電話問い合わせの受付業務を自動化するクラウドIVR VoiceGearを提供しています。
顧客からの電話問い合わせに対して音声ガイダンスで24時間自動対応することで、オペレータの業務負荷を軽減し、コンタクトセンタのコストを削減することができます。
電話チャネルのコスト削減や効率化をご検討の企業様には様々なご提案が可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
貴社の電話受付業務の改善やCS向上をVoiceGearがお手伝いします。
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